冷たいだけだった部屋にも僅かな温度が湿りだす。
さっきまでガシャリガシャリと後ろ手で鎖が鳴っていた のだがそれさえも少なくなっている。
代わりに聞こえてくるのは水温。

下肢を肌蹴させてローデリヒは皮の手袋をつけたままそ の熱の塊に触れていた。

「ぁ、っ…ぅ!」

薬も程よく回ってきたのだろう。
指でただ優しくユルユルと触れている。
ただそれだけをもう10分以上は続けているだろう。
達させはせずに時にその指を離して足を撫でてやるだけ にする。

薬が入っているのにこの仕打ちでは狂いそうなほど焦ら されているはずで。
それでも喉の奥を詰めて声を耐えている。

だからローデリヒは親切に探り当てていたそこを擦って やった。

「っ!!ぁあ、ぁ…!は…!」

腰が揺れて手に熱が押し付けられる。
まるで強請るようだった。



「…そうしていれば少しは可愛らしいのに。」
「…それは、…光栄、だな…」

まだ正気らしい。
ローデリヒは笑みはそのままで指を滑らかに更に下に移 動した。



「!!!」

塗れた指でそこを撫でる。
おそらく何百何千と生きても触れられた事はないだろ う?ましてや男に。

そんな事とは無縁な世界で生きていたんだろう。ギルベ ルトは。
自分とは違って。

ゆっくりと一本だけ傷つけないように潜り込ませる。
ギルベルトの喉が引き攣る音は聞こえたが知らないフリ をした。
どんなに興奮してここで快楽を覚える事を知らない体は 硬かったがそれでも充分に熱い。
けれどもそんな事はローデリヒは構わなかった。



「っひ、…!」

ガシャリ、とギルベルトの体とベットの間に挟まってい る鎖がまた鳴った。
男の体の構造なんて誰も大差ない。
前立腺は男ならどう足掻いても感じてしまう場所だ。
そこの場所もそこをどうしたらいいのかもローデリヒは もう知っている。


―こんな事ばかり自分は巧くなってしまった。



「っは、ぁ、ああ、っ!!」

ガクガク、と肩が揺れている。


さっき前の熱を手で触れた時とは違い今度は遠慮なしで そこを責め立てた。
すると僅かに分泌液があって更に指の進入を許す。

男でもそこが女ほどでもないが濡れるのは感じている証 拠だった。


「…思ったよりも才能があるようで…」
「…っ!!」


口も開くがそこからは罵倒を叫ぶ余裕などはある訳がな い。
快楽だけで言えばもう達してしまってもいいくらいの刺 激のはずだ。
けれども後ろを弄るこの行為では慣れていない体では吐 き出す事は恐らく叶わない。

恐らく視界が歪むくらいには苦しいだろう。分かってい る。


自分はもっと手酷い仕打ちだって受けた事だってある。

けれど逃げる事は出来なかった。


そうでもしないと国として大きくなれなかった、そんな 落ちぶれた男にこうされる気分は?
そんな見下し嘲笑っていた相手に、こんな風に弄ばれる のはどうだ、快感だろう?


快感と共に絶望する事の甘美さと言ったら!



ローデリヒはそれを胸焼けと胃もたれして肺も胃も捨 ててしまいたくなるほど思い知っている。

死にたいほどに、だ。






「あ、ぁ、ぁ…ひ、…ぅ…っあ…!」

「−いい声。」
素直な感想だった。

いつもの穢れを知らないあの低音が掠れている。それだ けでローデリヒは光悦となる。
男に撫でられるよりも女に舐められるよりも余程の快楽 だ。
実際恐らくギルベルトほどでなかったにしろローデリヒ の吐息は熱かっただろう。
それを耳に吹きかけてやる。

「く、は、ぁ、ぁ…っあー…ぃ…!」



広がる口から舌がだらしなく時々伸びるのがいやらし い。

太股を引き攣らせてびくびくと震えてい るのを見てもうそろそろ堕ちるだろうとそう思った。
むしろそうしないと無理なはずだ。

ギルベルトの騎士としての誇りはこんな現状を正気で受 け止めていい訳がない。

この行為に誇りは共に出来ない。

そんな事は誓った神のいる教会で祈りながら聖女を辱め るような矛盾。
その矛盾に精神は安定出来る訳がないのだ。
そこで神などいないのだ。と自己暗示が出来なければ罪 悪に狂うしかない。

ギルベルトのように賢い者なら尚更。
堕ちるしかない。全てを棄てて。正気をなくして。
ローデリヒのように。
そうしたら。

もうあの目でローデリヒを見下したり出来なくなるだろ う?


「あぁ、…ぅ…」

がくりがくり、と体が痙攣する、


ローデリヒの指を含んだそこは既に蕩けて指の三本なら 飲み込んだ。
早いのかもしれない。
普通ならば最初は拡張だけで終わらせるものだ。
まぁ薬のせいもあるしローデリヒはこんな風な事は慣れ ていたからそのせいなのかもしれない。


「…これなら、」
「?あ、…っは、あっっ」

「大丈夫かもしれませんね…」
「…?」


指を抜いて優しく彼の首筋に口付けた。
身動きできない体で抗うような仕草はあったがそんなの は可愛いものだった。
跡が小さくつくまで吸い上げるとまた体が跳ねた。
こんな時にこんな相手でなかったらこの敏感な反応は本 当に愛らしいのに。

「っ…!」
ぼやけた聴覚でも布ズレとベルトの金属音が聞こえたの か今度はもっとハッキリと体を捻る。
だから仕置きとばかりに耳を食んでやった。

「ヒッ…!」

生温い水質の高い粘膜の音が鼓膜を犯す。
少し行き成り深く挿してやったから別の生き物が耳に侵 入したような心持だろう。
下腹の辺りをゆっくりと撫でてやれば鳥肌をたてて背を 撓らせる。

「ざ、け…」
「息を吐きなさい。」

それを入り口付近で一度滑らせてやると気色悪いのだろ う。
また足が強張って、そしてその隙にそのまま宛がった。

「ぃ、、っ」
「−っ」

ここで間誤付くような初心ではない。


「……!」
ぎちり、と音が聞こえるようだった。
一応進入はしているが半分も終わってない。
…非常にキツい。

「かっ…」

まぁいけない事もなさそうだ。

ローデリヒは胸もとのスカーフを緩めて 眼鏡も外してギルベルトに覆いかぶさるように左腕をベットについた。
指で繋がっている場所を撫でる。

「!あっ」
入り口の縁も一般的な性感帯に数えられる場所だ。
広がった場所を撫でればそこが動くのが分かった。



「…熱い、ですね。」
「っく、ぁ…」
「そこまで痛くは…ないでしょう?」
「ん、な………ぇ…」

「動きますよ。」

「ぁ、ま、っ…」

揺さぶるようにゆるやかに動かす。

顔を振り乱しギルベルトは呻いた。
赤い口が叫びの形に開くと背筋が震える。
その叫びの合間にその唇が喘ぎの形に変わる事に喉が鳴 る。


もう脳はまともに思考をしていないだろう?

痛みと快楽と屈辱に濡れてしまえば。
どうすれば、この拷問から精神を守る か。

そんな自衛本能を働かせれば分かる筈 だ。



出し入れに痛みさえ感じた場所は丁寧に性感帯だけを感 じさせればきついが柔らかになっている。
体はもう分かっているのだ。
これからギルベルトがどうしたらいいか、なんて。



いつかのローデリヒのように、なってしまえばいいの だ、と。





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